研究概要 |
金属や半導体の表面のみを機能性有機化合物単分子膜で修飾することにより、多様な機能を持ち、均一な構造を持つ材料を生み出すことを目的として、以下の二点からのアプローチによる検討を行った。 (1)強い金属-炭素相互作用に基づく表面有機金属結合の形成 (2)弱いヘテロ原子-金属相互作用に基づく表面有機構造の形成 1-1 シリコン基板上への有機強誘電性薄膜の形成 新しい有機強誘電性物質の探索・分子設計・合成研究を行い、gem-ジフルオロオレフィンのラジカル反応で合成されると期待される2,2-ジフルオロ-1,3-ジフルオロプロパン構造をもつ有機化合物の合成法の開発を行い、これを用いた、2,2-ジフルオロ-1,3-ジフルオロプロパン構造をもつ有機化合物の合成法を確立した。この強誘電性部分構造を、新たに反応条件を最適化したヒドロシリル化法を用いて、シリコン(111)面を水素終端化した基板への強誘電性自己組織化膜の作製に成功し、強誘電性の存在が確認された。 1-2 多環芳香族共役自己組織化膜の作製と整流特性 末端アセチレンを水素終端化シリコンにヒドロシリル化させた形成されるビニルシラン構造が、P/N接合ダイオードとして機能すると期待して、一連の既知あるいは新規の電子豊富アセチレンの合成法の確立と水素終端化シリコンへの自己組織化を検討した。いずれの基板も期待された整流特性を示したが、膜厚が薄い方が導電性は高く同程度の分子長を場合、電子供与基であるメトキシ基やチエニル基のより多くの置換が導電性を増大させることを示した。 1-3 固体NMRスペクトルによる自己組織化膜上の炭素-ケイ素結合の解析 炭素骨格の一部の炭素を^<13>Cで標識化した試料を合成し、その自己組織化膜を形成したシリコン基板の削り粉試料を固体^<13>C NMRスペクトルで解析したところ、水素終端化シリコン基板上でのヒドロシリル化によりSi-C結合が生成することが初めて確かめられた。 2-1 含フッ素鎖を有する官能性アルカンチオールの合成。 フッ素を置換することで、チオールの酸化電位をあげ、金以外の金属とも安定な自己組織化膜を生成するチオールの合成法を検討した。
|