研究課題/領域番号 |
14350383
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
尾形 幸生 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (30152375)
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研究分担者 |
ハム ディディエ 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助手 (50324702)
作花 哲夫 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教授 (10196206)
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キーワード | 多孔質シリコン / 光励起 / レーザー / 電析 / 置換めっき / パターニング |
研究概要 |
シリコン上への光アシストマスクレス金属パターニングを試みるにあたり、置換めっきの寄与を考慮しなければならない。ニッケルなどの卑金属の場合には問題にならないが、貴金属の場合はシリコン表面上に置換めっきが自発的に進行する。貴金属として銅を取り上げ、光アシストパターニングの可能性を探った。 銅の置換めっき挙動を把握するために、シリコン及び多孔質シリコン上への単純硫酸銅酸性溶液からの金属銅析出を検討した。浸漬当初は銅の置換析出が進行するものの、やがて析出が止まり、その後、析出した銅が溶解した。溶存酸素の存在がこの析出、再溶解現象を引き起こすことを明らかにした。また、銅置換めっき時に電位の振動現象が起こることを見いだした。非分極条件下におけるシリコン電極の電位振動現象はこれまでに観察されたことがなく、初めての発見である。さらに、シリコン及び多孔質シリコン上への置換めっきが、過剰の塩化物イオンの存在によって完全に抑えられることを確認した。 p型多孔質シリコンを塩酸酸性塩化第二銅溶液中に浸潰し、適当な電位を印加した条件でレーザー照射を行った結果、光照射部にのみ銅金属が析出した。照射スポット径が5μmであったのに対して、析出金属の径は20μmとなった。シリコンを基板に使った場合にはさらに径が広がった。基板を設置したステージを動かすことにより、金属パターンを描くことも可能になった。描画期間中に既析出部における金属成長が見られず、照射部のみにおいて金属析出反応が進むことを確認した。これは精密パターニングの要件を満たすものである。
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