研究概要 |
金属基複合材料は金属材料を凌駕する特性を有しているが,構造材料として用いる場合に必要不可欠な接合技術が完成されておらず,このため金属基複合材料の実用化は限定されてきた。摩擦攪拌接合法はこれまでの常識を覆す全く新しい接合法であり,現在、アルミニウム合金への適用が可能になってきているが、その他の金属材料への適用は未だであり、金属基複合材料への適用を含めて世界的にその基礎・応用研究が始まっている。本研究では、セラミックス粒子分散型アルミニウム基複合材料に対して摩擦攪拌接合法を適用し,粒子分散型アルミニウム基複合材料およびその異材接合に対する摩擦攪拌接合法の適用性を評価した。分散粒子としてアルミナを10および20%含有した6061アルミニウムマトリックス複合材と炭化珪素を10、15、20%含有したA359(Al-9mass%Si-0.6mass%Mg)複合材料を使用し、複合材同士の接合およびマトリックスアルミニウム合金との異材接合実験を行った。接合特性に及ぼす接合パラメーター(溶接速度、ツール回転速度)の影響を明らかにするとともに接合条件の最適化を行った。また得られた継手のミクロ組織解析、硬さ測定、引張試験を実施した。セラミックス粒子は摩擦攪拌接合部では均一な分散を示し、複合材同士および異材継手のいずれにおいても引張試験では母材破断であり、良好な接手強度が得られた。しかし、セラミックス粒子によるツール摩耗現象がみられ、耐摩耗性に優れたツールの開発が今後の課題であった。
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