研究概要 |
本研究では高密度エレクトロニクス実装部の高信頼化のために、接合界面構造のナノスケールキャラクタリゼーションとその実装部信頼性評価への適用を目指して、パッケージとしてQFP、BGAおよびCSPを対象として、Sn-Ag,Sn-Ag-Cu、Sn-Zn-BiおよびSn-Ag-Bi-Inはんだを用い電極表面処理を変化させてリフロー実装を行った。そして、これらの実装試験片に対して高温保持および温度サイクル試験を行い,組織解析と接合強度評価を行なった。まず、各鉛フリーはんだと基板表面処理を組み合わせた場合の界面強度に及ぼす界面微細構造の影響を統一的に解明した。その結果、Cuランドへ実装した場合、Sn-Ag-CuおよびSn-Ag-Bi-Inはんだ継手では、界面に形成するCu-Sn系化合物の成長は、大きな強度の低下をもたらさないが、Sn-Zn-Biはんだ継手では、初期の薄いCu-Zn系化合物形成後に、高温放置に伴ってCu-Sn系化合物が急速に成長すると強度低下の原因になることが分かった。次に、Ni-P/AuめっきCuランドに実装した場合、Sn-Agはんだ継手では、Ni-Sn系化合物の生成、成長によってPリッチ層が形成して強度に悪影響を及ぼし、Auめっきが厚くなるほどその影響が大きくなったが、Sn-Ag-Cuはんだ継手では、Cu-Sn系化合物層がバリア層となるため、Pリッチ層の形成と継手強度の劣化を抑制した。しかし、この場合でもAuめっき厚さが250nm以上になるとPリッチ層の生成による強度低下が生じることが分かった。Sn-Zn-Biはんだ継手では、リフロー温度が低い場合に形成するAu-Zn化合物層は強度低下をもたらすが、リフロー温度を230℃以上とするとはんだとNiめっきの反応が進行して強度が向上した。Sn-Ag-Bi-Inはんだ継手では、逆にリフロー温度が220℃より高くなると電極のSn-Ag-Cuボールから溶解したCuにより界面に塊状のCu-Sn系化合物が形成し強度低下の原因となった。次に、これらの継手についてリフロー過程、高温放置過程における界面反応層の生成、成長挙動を評価し、速度論的検討に基づいてその成長過程を定量的に明確化した。最後にこれらの結果を統一的に整理し、各はんだと基板の組合せにおいて、高い継手信頼性を確保するための基板表面処理、リフロー条件および使用限界環境条件を明確化した。
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