研究概要 |
本研究は超微粒子の平行平板状電極間での静電的挙動を利用した混合材料膜形成法(EPID法)の開発を最終目標としているが,その可能性を明らかにするため,平成15年度実施計画の一部を先行させてシリコン複合化DLC膜の形成を試みた。すなわち,1.混合膜の作製と特性評価について 磁界援用EPID法による形成膜の膜内部構造を成長速度及び電導特性から評価した結果,次の知見を得た。初期のシリコン混合率(Si/C重量比)を増加させると,(1)シリコン粒子を比例的に含有するシリコン複合化DLC膜が形成され,電気抵抗率は増加する。(2)混合膜中のDLC構造はよりグラファイティックな構造へと変化する。(3)膜成長速度は比例的に増加する。(4)シリコン粒子の混合率の上限は,極間絶縁破壊の発生に起因して20%程度である。さらに,(5)これらの知見を説明し得る混合膜形成過程のモデルを提示することができた。 2.超微粒子表面の清浄化処理による成膜の効率化と高品質化について 成膜領域に水素プラズマを重畳してDLC膜を作製し,その膜表面観察及び膜微細構造の検討を行った結果,膜表面が明らかにエッチング処理されることを確認し,清浄化処理による膜質向上の可能性を示した。 以上の結果を踏まえ,平成15年度は,水素プラズマエッチング効果を利用する異種超微粒子の静電噴霧化混合法を確立し,これを組み込んだ均一混合膜形成装置を試作し,各種混合膜の適正作製条件と特性を明らかにして行く必要がある。
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