研究課題/領域番号 |
14350390
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
武田 紘一 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (20315641)
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研究分担者 |
丸田 薫 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (50260451)
杉本 尚哉 秋田県立大学, システム科学技術学部, 講師 (20291784)
熊谷 誠治 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助手 (00363739)
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キーワード | アーク / 陰極点 / 真空 / 仕事関数 / 酸化物除去 / 表面粗さ / 雰囲気圧力 / 電極間距離 |
研究概要 |
真空アークの陰極点はエネルギー密度が著しく高く、陰極である金属表面に存在する酸化物を以下のようなインテリジェントな特性を示しつつ除去する。すなわち(1)金属表面にある酸化物の自らが探し出し、酸化物上に陰極点が優先的に形成される。(2)酸化物上に形成された陰極点は、酸化物を蒸発・揮散させることにより除去し、清浄な金属表面を作り出す。陰極点下の酸化物が除去され、金属面が現れると、陰極点は新しい酸化物を求めて自動的に移送する。(3)陰極表面の酸化物が全て除去され、清浄な金属表面だけになると、アーク電圧が上昇し、酸化物除去作用が終了したという情報を発信する。 本研究はこのようなインテリジェントな性質が発現する物理を明らかにし、この性質の応用を探索することにある。平成16年度研究により電極間距離が陰極点クリーニング作用に大きく影響すること、ギャップ長が臨界値より短くなると酸化物除去エネルギー原単位は極間距離をある臨界値以下にすると大幅に低減できることが明らかになった。 平成17年度研究は臨界電極間距離が存在する理由、極間距離が短くなると酸化物除去効率が向上する物理的理由について解明した。明らかになったことは以下のとおりである。 (1)ギャップ長が臨界値を境に短距離側になるとアーク電圧が不連続に変化する。臨界値より小さくなるとアーク電圧は10V程度減少する。 (2)アーク電圧の不連続な減少はアークの陽極降下電圧の減少によっている。すなわち臨界値以上では10V以上のある陽極降下電圧が臨界値を境にほとんど0Vになる。 (3)酸化物除去におけるエネルギー効率が臨界値を境に大幅に向上する原因は陽極降下電圧起因するエネルギー損がなくなるためである。 (4)陽極降下電圧が減少する理由は陰極から蒸発してくる金属元素が陽極シースに到達し、陽極シース内電離し正イオンを供給するためであると推定される。陰極から蒸発する金属元素が届くことができる距離が臨界ギャップ長である。
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