研究課題/領域番号 |
14350394
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
一色 実 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20111247)
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研究分担者 |
王 吉豊 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (30271977)
三村 耕司 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (00091752)
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キーワード | 半導体用超高純度鉄 / β-FeSi2単結晶 / 化学気相輸送法 / フォトルミネッセンス / 電気特性 |
研究概要 |
β-FeSi2は、そのバンド構造が直接遷移型であるとの報告が成され、次世代のオプトエレクトロニクスデバイス用化合物半導体として注目されている。また、豊富な資源と耐環境性に優れた材料であることが挙げられ、いわゆる環境半導体として脚光を浴びることになった。しかしながら、化合物半導体研究にとって欠かせない、化学量論的組成からのずれ、それに伴う固有欠陥種、ドナーあるいはアクセプターの固溶度、さらには移動度等基本的情報が欠如している。 本研究の目的は、申請者らが開発した超高純度鉄を素材として用い、特性評価に耐えられる純度、結晶性および形状を持つ高品位β-FeSi2単結晶の化学気相輸送法による成長条件を明らかにすると共に、今後の研究に欠かせない基本特性として存在領域、固有欠陥、ドナーあるいはアクセプターに関する基本的情報を得ることにある。 平成15年度における研究結果として、以下のような成果が得られた。 (1)前年度開発した半導体用超高純度鉄の工業生産用プロセスにおいて、更なる不純物分離効率向上のための酸化精製手法を考案し、その有効性を確かめた。 (2)上記プロセスにより、ガス不純物を考慮した化学的純度99.9996%を達成した。 (3)β-FeSi2単結晶の化学気相輸送法成長に関して、電気的測定が可能な大きさの結晶を得ることに成功した。 結晶の径は前年度の結果に比し2倍以上となり、従来の針状結晶に加え数ミリ径の球状結晶の得られる可能性を明らかにした。 (4)ホール測定を実施し、本研究で得られた高純度素材を用いた結晶の電子移動度は市販高純度素材を用いて成長した結晶に比し大きいことを明らかにした。 (5)本研究で得られた高純度鉄と高純度Siをソースとして用い、Si基板上に分子線エピタキシーによる薄膜形成を試みた。その結果、この化合物では初めて基板上での直接合成を行うことに成功した。 以上の成果の内、(1)に関しては投稿論文として発表済みであり、(2)から(5)については論文として投稿準備中である。
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