研究概要 |
本研究は、燃焼(炭素および炭化水素系物質の酸化反応)に伴うダイオキシン類生成反応の詳細を明らかにすることにより、効率的な生成抑制および"その場"分解のための技術原理を探索することを目的としている。最近の基礎的研究および実プロセスにおけるダイオキシン類挙動等の考察では、一般的な燃焼系における排ガスの冷却過程で析出する未燃炭素粒子からの生成寄与が大きいことが指摘されており、そのメカニズムの把握と反応速度の定式化が望まれている。本研究期間では、従来指摘されているダイオキシン類の生成ルートのうち、炭素マクロ構造を有する未燃粒子"すす"を起源とするde novo"合成反応について、金属化合物、塩素化合物を様々に複合化した炭素試料を使用し、種々の条件下でダイオキシン類生成速度を測定し、その結果に基づく、炭素の性質、構造、温度、雰囲気など条件の影響の定量化を試みた。 ・de novo合成実験:第1年度(平成14年度)に実施したde novo合成実験を継続し、種々の塩素化合物で複合した炭素系試料について、各成分分析、表面機器分析(XPS, EXAFS, EELS)、吸着ハロゲンの形態分析(FTIR拡散反射測定を応用)を行い、複合化状態を定量・評価した。また、その結果を実験中に発生したダイオキシン類およびTOX生成量と比較、検討することにより、de novo合成反応に寄与する炭素の賦存状態を明らかにした。 ・炭素系粒子からのダイオキシン類生成速度の定式化:炭素基質構造(層間距離、結晶サイズ、活性サイト)、共存金属化合物、塩素化合物の濃度と賦存状態、反応温度、雰囲気中酸素および塩素ポテンシァルをパラメータとして統一的に考慮可能な生成速度パラメータを検討した。 ・鉄鉱石焼結プロセスにおいて生成する飛灰をサンプリングし、飛灰中に存在する未燃炭素粒子の構造や関連化合物との複合状態を明らかにし、本研究成果の適用性について考察した。
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