研究課題/領域番号 |
14350399
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平藤 哲司 京都大学, 工学研究科, 助教授 (70208833)
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研究分担者 |
邑瀬 邦明 京都大学, 工学研究科, 助手 (30283633)
松原 英一郎 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90173864)
粟倉 泰弘 京都大学, 工学研究科, 教授 (70109015)
佐賀 達男 シャープ株式会社, ソーラーシステム事業部・第一事業部, 部長
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キーワード | テルル化カドミウム / 硫化カドミウム / 化合物半導体 / 太陽電池 / 電析法 / 化学浴析出法 / 透明導電性基板 / 透過型電子顕微鏡 |
研究概要 |
研究代表者らは次世代太陽電池材料であるCdTe半導体の低コスト成膜技術として電析法を研究してきた。ここでは、Te(IV)種の溶解度が高い新しい電析浴としてアンモニア性の塩基性浴を開発し、電析時にカソード表面へ可視光照射するフォトアシスト電析を用いたCdTe成膜を行っている。 これまでの研究により、as-depositedでの高い比抵抗(10^8Ωcm)がCdTe薄膜の問題点として挙がっている。本年度は電析浴中の不純物を予備電解により除去し、より高品質のCdTe薄膜電析を試みた。その結果、塩基性浴および従来型の硫酸酸性浴ともに、予備電解によって、得られるCdTe薄膜のキャリア密度は向上した。このときキャリア移動度は若干低下したものの、従来のものに比べ比抵抗の1桁高いCdTe薄膜を得ることに成功した。また、as-depositedでの伝導形式は予備電解によっては変化せず、塩基性浴からのものは太陽電池材料として適したp型、酸性浴からのものはn型であった。予備電解によって取り除かれる主な不純物はCuであり、長時間予備電解するほどより多くの不純物が取り除かれることも明らかとなった。 本年度はこのほか、CdTeに対してドーパントとして作用する塩化物イオンが、フォトアシスト電析挙動および得られる電析物に与える影響を調べた。その結果、少量の塩化物イオン存在下でフォトアシスト現象が大幅に抑制されることや、塩化物イオンが多量に存在する浴からの電析CdTeはn型となることが明らかとなった。しかしながら、塩化物イオン添加浴からの電析CdTeの比抵抗は10^8Ωcm台と低く、この手法での低抵抗化に関しては来年度さらなる検討が必要である。 一方、来年度に向けた予備実験として、より高温の浴から結晶粒の大きなCdTeを電析し、比抵抗低減を図るため、ガラスオートクレーブの設計と組立を行った。
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