研究概要 |
【研究目的】 富山県では多量のエミッションを発生させている事業所に対して,エミッションの削減を目指した提言を行うための調査研究を本年度からスタートさせた。研究代表者はその調査を受託し,現在基礎的な調査を始めたところである。本研究では,富山県内の事業所のエミッションの健全な削減,未利用資源の有効利用を最終目的に,廃棄物起源材料をターゲットにした,廃棄物中に含まれる重金属の環境中での溶解・浸出挙動の解析,県内産業ネットワークの可能性について種々検討した。 【研究成果】 廃棄物起源材料の溶解・浸出挙動:廃棄物の減量化プロセスのひとつである炭化によって余剰下水汚泥を処理した材料を評価し,炭化汚泥を最終処分場に適用することにより,炭化汚泥に含まれているりんの緩衝作用および反応性により,廃棄物から浸出した重金属を安定にその中に保持できることを見いだした。これは特許として出願中である。一方建築廃材として大量に発生する石膏ボードをリサイクルして作られる石膏ボード製造プロセスを調査し,その問題点等を検討した。 産官学・学ネットワーク:富山県内に限らず,自治体に属する多種多様な事業者の産業エミッション削減を考える際には,一つの研究機関の研究者では対応が不可能である。そこで,複数の高等教育機関の研究者に産業界,自治体を交えた産官学・学ネットワークの必要性が明らかとなった。また,そのネットワークの形式として,中立なNPO法人を設立し,そこで自治体の調査研究を受託して行うことがもっとも適当であるとの結論に達した。
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