研究概要 |
本年度は、溶存オゾンの吸着特性及び吸着状態でのオゾンの分解特性といった基礎的知見の収集を行った。吸着剤としてはシリカアルミナ系吸着剤を用いた。 溶存オゾンの吸着特性評価では、シリカアルミナ系吸着剤の有する細孔構造、ならびにシリカとアルミナの組成比(SiO_2/Al_2O_3比)との吸着性能との依存関係を、破過吸着実験を行うことにより評価した。前者においては,細孔構造の異なる3つのゼオライト、すなわち、US-Y(細孔径7.5-10Å)、Mordenite (6.7-7Å)、およびZSM-5(5-5.5Å)を用いて実験を行ったところ、細孔径の減少に従いオゾン吸着容量が増加することが確認され、ZSM-5においてもっとも高い吸着容量が観測された。一方、ZSM-5およびMordeniteに関してSiO_2/Al_2O_3比を変化させた(ZSM-5では30〜3000、Mordeniteでは10〜90)実験の結果より、SiO_2/Al_2O_3の増加に伴い、オゾン吸着容量が増加することが確認された。 吸着状態でのオゾンの分解特性評価では、オゾン水溶液によって完全に破過させた吸着材を一定時間密閉放置後、蒸留水を流通し出口濃度の経時変化を追うことにより脱着量を求め、放置時間と脱着量の関係を調べることで吸着状態でのオゾンの分解速度を測定した。ここでは特に,吸着状態でのオゾンの分解機構について検討を行うため、吸着剤の性質(SiO_2/Al_2O_3比)、溶液pHとオゾン分解特性との関係を評価した。その結果、分解速度はSiO_2/Al_2O_3比やpHの影響をほとんど受けなかった。特にバルク流体中でのオゾン分解はpHの影響を強く受けることから、吸着状態でのオゾン分解は、バルク流体中のそれとは異なる機構でその分解が進むことが考えられた。
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