研究課題/領域番号 |
14350417
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
寺本 正明 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (60026086)
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研究分担者 |
松宮 紀文 住友電気工業(株), エレクトロニクス・材料研究所, 主席
松山 秀人 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (50181798)
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キーワード | 促進輸送膜 / 中空糸モジュール / ガス分離 / 二酸化炭素 / 地球温暖化 / アミン / エチレン / 硝酸銀 |
研究概要 |
中空糸多孔膜の内側(原料側、高圧側)に着目ガスと可逆的・選択的に反応するキャリアの溶液を原料ガスとともに連続的に供給し、キャリア溶液を透過側(低圧側)に透過させる方式の新規なガス分離用促進輸送膜を提案し、これを用いて以下の成果を得た。 1.純水を吸収液、原料ガスをCO_2/N_2混合ガスとして、原料ガスと水を大気圧で限外濾過中空糸膜モジュールの膜内側に供給し透過側を減圧に保った実験、および原料側を加圧に、透過側を常圧に保つ実験を行った。実測されたCO_2透過速度は、原料側、透過側ともに気液溶解平衡が成立しているとして計算したCO_2透過速度の約80%であり、本方式でのガス吸収・放散両過程を含む物質移動の総合効率は極めて高いことが判明した。また、膜両側にかなりの圧力差があっても、液が満たされていない膜の細孔をガスが非選択的に透過せず、膜モジュールが安定性であることが実証された。 2.各種アミンをキャリアとするCO_2/N_2の分離では、中空糸の内径が分離エネルギーに影響するので、熱誘起相分離法により種々の内径のPVDF中空糸膜限外濾過膜を作製してCO_2分離実験に用いた。内径を1mmにすると、これまで用いてきた内径0.8mmの膜と比較して分離エネルギーが約40%節減でき、本方式は既往の分離法と比較して極めて省エネルギー的であることが判明した。 3.硝酸銀をエチレンのキャリアとするエチレン(80%)/エタン(20%)混合ガスの分離濃縮実験を、加圧モジュールを用いて行った。回収エチレンの純度は99.6%、エチレン透過速度も既往の促進輸送膜より約1桁高かった。液の透過がジュールの上部で起こるほどモジュールの効率が高く、総合効率が90%にも達することが判明した。 4.本分離手法は省エネルギー的で装置のコンパクト化が可能であり、他のガスの分離にも適用できると思われる。
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