研究課題/領域番号 |
14350418
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
草壁 克己 九州大学, 工学研究院, 助教授 (30153274)
|
研究分担者 |
諸岡 成治 福岡大学, 工学部, 教授 (60011079)
外輪 健一郎 九州大学, 工学研究院, 助手 (00336009)
|
キーワード | 無機膜 / 触媒 / 脱水素反応 / シクロヘキサン / 水素 / 反応・分離 / ゼオライト / 膜型反応器 |
研究概要 |
膜型反応器を用いたシクロヘキサンの脱水素反応では、粒状充填触媒上でベンゼンが生成し、副生する水素を分離膜によって反応系外に除去すると、平衡がベンゼン生成側にシフトすることで反応率が向上する。しかしながら、充填触媒層内では水素が欠乏するのでコーキングが起こることが問題である。また、Pd膜やシリカ膜などの水素選択性分離膜についても問題がある。反応生成物であるベンゼンを反応系外に除去できる膜を開発すれば、触媒のコーキングが防止できる。本研究では、水熱合成法により多孔質アルミナ支持管上にY型ゼオライト膜を作製し、ベンゼンとシクロヘキサンの蒸気分離を行ったところ、透過温度100℃では、シクロヘキサンに対してベンゼンの透過速度が70倍大きいことを明らかにした。一方、ベンゼンの分離係数は透過温度が増大すると減少することを明らかにした。そこで、白金担持アルミナ粒状触媒を充填し、分離膜としてY型ゼオライト膜を組込んだ膜型反応器を用いて、150から250℃の反応温度でシクロヘキサンの脱水素反応を行い、転化率と反応温度との関係を明らかにしたところ、全温度領域で、シクロヘキサンの転化率は平衡転化率を上回った。しかしながら、反応温度が高いほど透過側のシクロヘキサン濃度が高いことから、低温側ではベンゼンの選択透過が起こり、高温側では水素の選択透過が起こることで反応の平衡がシフトしたものと考えられる。従って、Y型ゼオライト膜のイオン交換などにより、高温におけるベンゼンの分離係数を向上する必要がある。
|