研究課題/領域番号 |
14350419
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
井上 勝利 佐賀大学, 理工学部, 教授 (90039280)
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研究分担者 |
大渡 啓介 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (70243996)
大島 達也 宮崎大学, 工学部, 助教授 (00343335)
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キーワード | カリックスアレーン / タンパク質 / 抽出 / 分離 / 分子認識 / 液膜 / シトクロムc / ペプチド |
研究概要 |
本年度は第一に、昨年度に引き続いてカリックスアレーン化合物によって有機媒体に可溶化したシトクロムcを触媒として用いた芳香族類の酸化重合(酵素触媒重合)について検討した。o-フェニレンジアミンの酸化重合について検討し、反応速度にシトクロムc濃度、過酸化水素添加量、有機溶媒の種類等が影響することが確認された。適当な条件下において数時間の反応操作を行った結果、分子量数千程度のポリマーの形成が確認されたがそれ以上の分子量の増大には至らなかった。 第二にタンパク質の分離操作を連続的に行うためにタンパク質の液膜輸送系の構築を試みた。タンパク質の正抽出・逆抽出操作において、抽出剤濃度、供給相・回収相のpH、塩濃度、アルコール濃度などの因子が正逆抽出速度に影響することが示された。これらの情報に基づいて設定したバルク液膜輸送系において、供給相に存在するシトクロムcがカリックス[6]アレーン酢酸誘導体をキャリヤーとして含む液膜相に抽出され、回収相に逆抽出される連続的な液膜輸送系を構築することができた。 第三にカリックス[6]アレーン酢酸誘導体のタンパク質認識機構を解明する手段として、ジアミン化合物の抽出を検討した。アミノ基を2つ有するジペプチド化合物を合成し抽出実験を行った結果、カリックス[6]アレーン誘導体はこのジアミン化合物に対する高い抽出性を示したが、カリックスアレーン1分子でゲストが有機相に抽出され得ることが示唆され、1:2錯体の形成の確認には至らなかった。 第四に、新たなホスト分子を合成し、金属イオンに対する抽出挙動について検討した。具体的にはピリジル基と酢酸基を1分子内に併せ持つ各種の酢酸_ピリジル交差型カリックス[4]アレーン誘導体を合成し、銀イオンを対象とする溶媒抽出に関する研究について検討したほか、p-アリルカリックス[4]アレーン酢酸誘導体を合成し、鉛イオンの抽出について検討した。
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