研究課題
超臨界メタノール中でのPETの分解における反応機構を検討した。PETの分解反応における、主たる生成物はテレフタル酸ジメチル(DMT)とエチレングリコール(EG)であった。サイズ排除クロマトグラムを用いて、PET分解物の分子量分布の経時変化を調べた結果、オリゴマーへの低分子化は短時間で進行し、オリゴマーからモノマーへの反応が律速段階であることが判明した。また、テレフタル酸ビスヒドロキシエチル(BHET)はPETの構成する単位ユットであり、テレフタル酸と2個のエチレングリコールがエステル結合で結合し化合物である。このBHETをPETのモデル化合物として用いて、分解試験を行い反応機構の検討を行った。反応時間の経過とともにEGが一つ取れたテレフタル酸2-ヒドロキシメチルエチル(MHET)の収率が増加し、その後減少する傾向が見られた。MHETの収率の減少に伴い残りのEGが取れたDMTの収率が増加する傾向が見られた。また、同様の傾向がPETを分解したときにも見られた。以上の結果より、反応はPET→オリゴマー→MHET→DMTと逐次的に進行することが示唆された。亜臨界・超臨界水中でのフェノール樹脂の低分子化を検討した。分解は、温度が高くなるほど短時間での分解が可能となり、液相中に転化したものは、フェノールやクレゾールなどにモノマー化され、成分の一部は2量体・3量体もしくはオリゴマーとして液相中に含まれていると考えられる。アルカリ触媒としてNa2CO3を使用した場合、触媒濃度への依存性が見られ、触媒無添加の場合よりも若干のモノマーの収率が増加する傾向が見られた。気相生成物の回収はできなかったが、一反応温度が高いほど、また亜臨界域でも反応時間が長い場合生成量が増加していることが液相・固相生成量から確認された。
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