研究概要 |
金属ナノ粒子は極めて高い表面活性を有するため、凝集・凝結により成長し、ナノ粒子特有の特性を失う場合が多い。そこで、液相還元法を応用して金属塩溶液からシングルナノサイズ(<9nm)の合金粒子を各種担体表面上に高分散状態を維持できるように選択析出する手法(液相還元選択析出法)の確立と成長機構研究を行うと同時に、合成したナノ粒子の詳細な分析結果からナノ合金粒子の特性の解明と、既存の触媒調製法(含浸法、イオン交換法など)により得られた触媒粒子との水素化触媒活性比較を行うことにより、新触媒調整手法の開発を行った。 (1)ニッケル-亜鉛ナノ粒子の液相還元選択析出と成長機構 酸化チタン等の酸化物ナノ粒子(5-20nm)表面上へのニッケル-亜鉛ナノ粒子を選択的に液相から還元析出する手法は確立された。成長機構研究より、担体表面上に吸着した金属錯体を核生成サイトとしてナノ粒子が成長すること、核生成サイト数は添加する第2金属元素(亜鉛等)の量で制御でき、その結果生成するナノ粒子の径を1nm単位で制御可能であることが明らかとなった。亜鉛添加によって活性化エネルギーは変化しないことから、ナノ粒子はニッケル表面上で成長することがわかった。 (2)ナノ粒子のキャラクタリゼーション 合成されたナノ粒子のHR-TEM, ESCA, EXAFS等による測定結果から、亜鉛の添加によりナノ粒子径は減少すること、ナノ粒子中のニッケルは金属であり亜鉛は酸化物状態であるなど、合成されたナノ粒子の物性が明らかとなった。 (3)水素化触媒活性比較 水素化触媒能活性は1-オクテン或いは一酸化炭素の水素化反応で評価した。その結果、本手法を用いてニッケルに亜鉛を添加することで活性が向上すること(亜鉛添加効果)、担体表面に選択析出することにより触媒ナノ粒子が安定化し長期間高活性を維持することが可能である結果(担体効果)が得られた。
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