研究概要 |
昨年度に引き続き,均一な細孔構造を有するメソポーラスシリカ(MS)表面への化学活性官能基のアンカーリングを試みた。今年度は昨年度のMSと細孔構造が異なり2次元六方構造を有するMS(MS-Hx)について,細孔径を系統的に変化させた試料を調製し化学活性基のアンカーリングに用いた。特にMS-Hxの調製条件を検討することで,細孔構造規則性を保持しつつ細孔径を減少させ,官能基修飾後の細孔径が1nm程度になる試料も調製した。アンカーリングする官能基は,精密有機合成の原料として重要なアルデヒドとの特異的相互作用する1級アミノ基を選択した。窒素吸着,粉末X線回折ならびに各種分光法を用いて各試料の細孔性と官能基の修飾状態を特性化した。その結果,いずれの修飾試料(MS-Hx-NH2)も規則的細孔性を保持しつつ官能基がアンカーリングされていることが分った。さらに,MS-Hx-NH2についてアセトアルデヒドの吸着等温線と微分吸着熱測定を行ったところ,アセトアルデヒドの化学吸着性がアンカーリング前と比べて飛躍的に増大することが判った。特に細孔径が1nm程度のMS-Hx-NH2は細孔内のポテンシャル場が強調されるため,低濃度での吸着性を向上することが明らかになりた。さらに,MS細孔内を不斉反応場として用いることを目指して,MSへの不斉配位子のアンカーリングが可能なアンカーサイトを持った2,6-ビスオキサゾリン系不斉配位子(pybox-hm)を合成し、その不斉分子触媒としての機能を評価した。その結果pybox-hm/Ru(II)触媒で触媒的不斉シクロプロパン化反応が水系や2相系で極めて高い不斉誘起能を有することが明らかとなった。 現在メソ多孔性シリカ表面の有機官能基濃度を高めるために,化学活性官能基を骨格内に含むメソ多孔性シリカの合成を試みている。
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