研究概要 |
今年度は昨年度の研究をさらに発展させ、ナノ空間触媒として集積型Rhジカルボン酸錯体高分子と種々のVIII族金属を内包したSiO_2ナノチューブ(nt)やナノカプセル(nc)によるブテンの異性化反応やCOの水素化反応、COやH_2の吸蔵挙動の検討を行なった。 (1)Rh錯体では、配位子としてフマル酸とテレフタル酸を用いた場合、吸蔵されるブテンの異性体の挙動が異なった。フマル酸錯体では3種の異性体はほぼ同量吸蔵されるのに対し、テレフタル酸ではシスー2ーブテンの吸蔵量が多く細孔構造の違いが示唆された。1-ブテンの異性化反応は室温域から進行するが、後者のほうが著しく活性が高かった。反応中に細孔内に吸蔵されたブテンの異性体分布を求めると気相よりずっと平衡組成に近いことがわかり、異性化反応は細孔内で速やかに進行し、その後の脱理過程がこの反応の律速段階であることが明らかとなった。 (2)Pt,Pd,Rh,やRuを内包したシリカナノチューブやカプセルによるCO-H_2反応を検討し、通常の含浸法で調製した触媒と活性・選択性を比較検討した。これらのナノ構造体のSiO_2膜は水素を選択透過し、COの吸着阻害なく水素原子を反応場に供給する特性を示すことが期待される。実際通常の担持触媒にくらべ、これらの触媒では活性こそ低いが、メタン及びメタノールへの選択性が著しく向上し、表面水素濃度の高いことが示された。 (3)これらのナノ構造体のうち、Pd-SiO_2(nt)およびRu-SiO_2(nc)はH_2およびCOを多量に吸蔵する特性を有することが明らかとなった。今後はこの特異は性質とCO-H2反応挙動との関連について検討していく。
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