ヒトゲノムプロジェクトやポストゲノムプロジェクトをはじめ、ゲノムおよびプロテオーム関連研究が急速に進展している。「プロテインチップ」の開発によって、「機能に基づいたタンパク質ライブラリの迅速解析」が達成可能である。約10万個に及ぶタンパク質を一枚の「プロテインチップ」にて解析することは不可能である。本研究では、代表者が長年研究し得意とする立体構造をデザインした種々のペプチド配列を同時合成し、デバイス配置可能な最新技術であるペプチドライブラリ手法を駆使し、タンパク質ライブラリを機能的特徴により解析することが可能なプロテインチップ開発のための基盤技術を確立することを目的としている。平成14年度において、ペプチドの立体構造に基づく相互作用が想定されるモデル系を用いて、合成および検出法について検討した。α-ヘリックスペプチドやループペプチド、β-ストランドペプチド基本骨格構造を用い電荷バランスなどを変化させたペプチドライブラリを作製し、これらによる各種タンパク質の認識パターンによる「プロテインフィンガープリント」法を開発した。 本独自開発技術である「プロテインフィンガープリント」法を発展・展開するために、平成15年度は、ペプチドアレイの多様性を増加させるライブラリを種々合成した。たとえばα-ヘリックス、β-シートやループ構造をもち、さらにアルキル基など種々の生体系の化学構造を導入したペプチド群を作成した。これらのライブラリをマイクロウェルやガラス基板上などに固定化配置し、ペプチド中に導入した蛍光基によりタンパク質検出を可能にするプロテインチップ開発の基盤研究を行った。これにより「プロテインフィンガープリント」法の改良・発展に関する成果を得た。
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