研究課題
基盤研究(B)
トランスジェニックニワトリは、組換えタンパク質生産のための動物工場として提案されてきた。これまで、トランスジェニック鳥類を作出するために様々な方法が報告されてきたが、目的遺伝子を実用可能なレベルで発現するものは得られていない。我々は、モロニーマウス白血病ウイルスをベースとした複製欠損型レトロウイルスベクターでベシキュラーストマティティスウイルスGタンパク質を外皮タンパク質とした汎感作性レトロウイルスベクターを鳥類胚への遺伝子導入に用いた。モノクローナル抗体を生産するトランスジェニックニワトリを作出するために、まずモデル抗体として、抗プリオンモノクローナル抗体由来の一本鎖抗体フラグメントにヒトIgG1のFc領域を融合したscFv-Fcを発現させるためのウイルスベクター生産用プラスミドを構築した。放卵後55時間孵卵したニワトリ胚の心臓に高力価に濃縮したウイルスベクター溶液を注入し、胚培養によって孵化させることによって、トランスジェニックニワトリ(G0)を作出することができた。これらのニワトリでは、血清や卵中に高レベル(〜5.6mg/ml)で組換え遺伝子産物を比較的安定して生産していた。生産が高かった個体での卵白中での発現レベルは、卵白の主要タンパク質であるオボアルブミンの10分の1であり、またリゾチームと同等以上のレベルであった。さらに、このG0ニワトリからG1やG2世代のトランスジェニックニワトリを得ることも可能であり、これら後代ニワトリでも血清や卵中に目的遺伝子発現がみられた。次に、抗体のH鎖とL鎖をEMCV由来のIRESを介して同時発現する抗CD2キメラ抗体を発現させるためのウイルスベクターを調製した。このウイルスベクターを先ほどと同じように放卵後55時間孵卵したニワトリ胚に注入して孵化させることで、抗CD2抗体の血清や卵での発現するG0ニワトリを作製することができた。
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