研究課題/領域番号 |
14350436
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
吉田 和哉 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (50252622)
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研究分担者 |
藤山 和仁 大阪大学, 生物工学国際交流センター, 助教授 (70209112)
関 達治 大阪大学, 生物工学国際交流センター, 教授 (50029245)
新名 惇彦 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (30029235)
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キーワード | ペルオキシダーゼ / プロペプチド / タバコ培養細胞 / EGFP / 小胞体 / 液胞 / タンパク質分泌生産 |
研究概要 |
西洋ワサビ(Armoracia rusticana)ペルオキシダーゼの液胞局在性アイソザイムC(HRP C)は、N末端およびC末端にプロペプチド(N-terminal propeptide, NTPPおよびC-terminal propeptide, CTPP)を有する前駆体タンパク質として合成される。昨年度の研究で、HRP CのNTPPの付加によって目的タンパク質を分泌生産できることを明らかにしたが、今年度は、NTPPの種類、およびタンパク質の翻訳効率が分泌量に及ぼす影響を解析した。NTPPの候補として、解析宿主として用いるBY2細胞で高レベルに分泌されるタンパク質のNTPPを用いた。解析は各NTPPをHRP C成熟酵素のN末端に付加し、それぞれの分泌量を評価した。その結果、β-D-glucan exohydrolaseのNTPPを付加した場合は1.3倍に、38kDaペルオキシダーゼのNTPPでは1.6倍に分泌効率を上昇した。次に、タンパク質の翻訳量と分泌量との相関を調べた。当研究室で高効率翻訳エレメントとして単離、同定したアルコールデヒドロゲナーゼ5'UTR領域(NtADH-5'UTR)を用いることによって、レポータータンパク質の翻訳量を上昇させた。NtADH-5'UTRを付加する効果として、GUSタンパク質をレポーターとした場合、BY2細胞においてmRNA当たりのタンパク質の蓄積量が数十倍上昇することが示されている。そこで、各種NTPPを付けたHRP CにNtADH-5'UTRを付加した融合遺伝子をBY2に導入し、培地中に分泌されるHRP C量を評価した。その結果、NtADH-5'UTRを付加した場合mRNAあたりのHRP C1aタンパク質生産量が約20倍上昇した。以上の結果から、目的タンパク質の高効率分泌生産には、1)分泌効率の良いNTPPを利用する、2)タンパク質の翻訳量を上昇させる、ことが有効であると結論付けた。また、NTPPとCTPPによる小胞輸送仕分け機構、および小胞輸送経路と糖鎖付加の関係を明らかにする研究については、来年度も解析を継続させる予定である。
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