研究課題
基盤研究(B)
西洋ワサビペルオキシダーゼアイソザイムCl(HRP C)は、ウェスタン解析やELISA法を始め、様々な検出反応に汎用される有用酵素である。また、植物ペルオキシダーゼの生理作用を知るためのモデル酵素として解析され、リグニン、スベリンやオーキシンなど様々な植物由来の化合物を酸化することが明らかにされている。当研究室では、HRP Cをコードする遺伝子を単離し、その推定アミノ酸配列からHRP CはN末端およびC末端に翻訳後に切除されるプロペプチドを有することを示した。植物ペルオキシダーゼは小胞輸送経路の一区画である、アポプラストもしくは液胞に存在することが知られている。そこで、前駆体型HRP Claに存在するN末端プロペプチド(N-terminal propeptide ; NTPP)およびC末端プロペプチド(CTPP)が細胞内局在性において果たす役割を解析した。その結果、NTPPは小胞体移行のためのシグナルペプチド、CTPPは液胞局在化シグナルとして機能することを示した。さらに、翻訳エンハンサーを用いることでHRP Claの蓄積量を増加さられることを明らかにし、外来タンパク質を植物の小胞輸送系で高効率に生産するシステム(植物小胞輸送工学)を確立した。また、微量の糖タンパク質からヒドラジン分解法を用いて糖鎖構造を解析する方法を確立し、この解析法によって、prxCla遺伝子をタバコ細胞に導入して発現させた場合でも、NTPP、CTPPにより液胞に輸送される過程で糖鎖修飾が行われ、内在性の液胞型糖タンパク質糖鎖に見られるMan3FucXylGlcNAc2構造が付加されることを明らかにした。
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