研究課題/領域番号 |
14350439
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
上岡 龍一 崇城大学, 工学部, 教授 (70099076)
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研究分担者 |
金野 明宏 (株)薬物安全性試験センター薬理研究所, 部長
松下 琢 崇城大学, 工学部, 助教授 (10209538)
松本 陽子 崇城大学, 工学部, 教授 (00133562)
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キーワード | リポソーム(複合脂質膜) / がん化学療法 / 担がんマウス / 肝臓がん / 膜融合 / 癌診断 / 悪性黒色腫 / 延命効果 |
研究概要 |
1.種々の複合脂質膜のin vitroでの制がん効果 脂質分子とミセル分子を混合し、新しく創製したハイブリッドリポソーム(HL)は、HLのみでin vitroおよびin vivoにおいて抗腫癌効果を示すことを報告している。今回は、脂質分子にアシル鎖の炭素数が2個ずつ異なるホスファチジルコリン(PC)を用いて、アポトーシス誘導について検討したところ、次のような興味ある知見が得られた。(1)アシル鎖長が12のPC(DLPC)の場合は、がん細胞に対してネクローシスを起こし、正常細胞に対しても強い細胞毒性を示した。(2)アシル鎖長が14のPC(DMPC)では、がん細胞にアポトーシスを誘導し、正常細胞に対して無毒性であった。(3)アシル鎖長が16のPC(DPPC)では、がん細胞増殖抑制効果を示さず、正常細胞に対して無毒性であった。以上のことから、アシル鎖長14のDMPCを構成成分とするHLは、がん細胞に特異的にアポトーシスを誘導し、顕著な増殖抑制効果を示すことが明らかになった。 2.複合脂質膜のみによるがん患者への臨床応用 複合脂質膜は、生命倫理委鼻会で承認後、臨床試験において延命効果および高い安全性が明らかになっている。今回は、昭和大学医学部において肝臓がん患者に対するパイロットスタディを実施した。複合脂質膜を投与した患者の腫瘍マーカー(PIVKA-II)の検査を行い、複合脂質膜の肝臓がん患者に対する治療効果を検討した。投与直後からPIVKA-IIの値が減少し、投与後40日目には、投与前に比べ約1/200にまで急激な減少がみられた。以上のことから、95mol%DMPC/5mol%C_<12>(EO)_23複合脂質膜は、肝臓がん治療薬として有効であることを今回初めて明らかにした。
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