研究概要 |
1.複合脂質膜のアポトーシス誘導メカニズム (1)DMPC/10mol%C_<12>(EO)_<23>複合脂質膜のヒト肺腺がん細胞(RERF-OK)及びヒト肺がん細胞(A549)に対する制がんメカニズムについて検討を行った。DMPC/10mol%C_<12>(EO)_<23>複合脂質膜は、RERF-OK及びA549細胞に対して、顕著な増殖抑制効果を示すことが明らかになった。また、RERF-OK及びA549細胞に対するDMPC/10mol%C_<12>(EO)_<23>複合脂質膜の制がんメカニズムは、がん細胞膜へ融合・蓄積後、カスペース-3,-8,-9を活性化し、DNAを断片化するアポトーシス誘導であることが明らかになった。 (2)DMPC/10mol%C_<12>(EO)_<23>複合脂質膜は、悪性度の異なるヒト肝臓がん細胞(Huh-7,Hep-G2)に対して、共に制がん効果を示し、特に、悪性度が高いHuh-7細胞に対しては、その制がん効果が極めて顕著であった。細胞の膜流動性は、Huh-7>,Hep-G2>Hcの順であり、制がん効果との相関性が明らかになった。さらに、DMPC/10mol%C_<12>(EO)_<23>複合脂質膜のHuh-7及びHep-G2細胞に対するアポトーシス誘導において、Huh-7細胞で最も早くカスペースが活性化されることが明らかになった。 2.複合脂質膜のin vivoでの制がん効果 (1)RAJI細胞移植マウスに対する治療実験から、DMPC/5mol%C_<12>(EO)_n(n=21,23,25)複合脂質膜は、延命効果が140%〜160%と高い延命効果が得られた。 (2)正常ラットを用いたDMPC/5mol%C_<12>(EO)_n(n=21,23,25)複合脂質膜の1週間反復投与毒性試験の体重、血球検査、血液性化学検査、各器官の剖検、臓器重量比などの結果から高い安全性が確認された。
|