【合成】平成16年度間までに蓄積したした直鎖状レニウム錯体合成のノウハウを生かし、(1)レニウム核数が1〜8の直鎖状錯体を効率よく合成・単離することに成功した。(2)電荷を有するレニウム多核錯体の新しい単離法としてサイズ排除型クロマトグラフィーを用いる方法を確立し、それを用いることで、11核及び23核の直鎖状レニウム錯体の単離にも成功した。(3)それらは、いずれも室温溶液中で強く発光する性質を有している。発光強度は、核数が増えるに従って、徐々に減少した。この結果より、分子内でエネルギーが移動していることが示差された。(4)合成した直鎖状2核もしくは3核錯体を原料として用いることで、リング状レニウム多核錯体の合成に成功した。それらの単離にも、サイズ排除型クロマトグラフィーが有効であることを見出した。(5)リング状レニウム多核錯体も、室温溶液中で発光する。興味深いことにそれらの発光量子収率は、モデルとなる単核錯体と比べ数倍大きくなることがわかった。 【光触媒特性】直鎖状レニウム3-5核錯体を光触媒として用いた二酸化炭素光還元反応について検討した。いずれも、対応する単核錯体より優れた光触媒特性を示したが、量子収率は4核錯体が最も高く、耐久性は5核錯体が最も優れることがわかった。 【光機能性】レニウム2核錯体分子内で、光電子移動および光ホール移動が起こる一連のレニウム2核錯体の合成に成功した。いずれの光反応も、架橋配位子の種類にはあまり影響を受けないが、各ユニット間の距離が遠くなると、反応も遅くなる傾向が観測された。
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