研究課題/領域番号 |
14350464
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小倉 克之 千葉大学, 工学部, 教授 (60114253)
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研究分担者 |
松本 祥治 千葉大学, 工学部, 助手 (50302534)
赤染 元浩 千葉大学, 工学部, 助教授 (10261934)
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キーワード | 2,5-ジチエニルピロール / トリシアノエテニル基 / 金属光沢結晶 / π電子系 / 電気伝導性 / 有機顔料 / ドープ / 金属色薄膜 |
研究概要 |
新規有機π電子系1-アリール-2,5-ジチエニルピロールにトリシアノエテニル基を導入した化合物が安定な金色光沢結晶を与える特異な現象を「有機π電子系凝縮化学」として展開し、新しい機能を開発することを目的として研究を行なっている。本年度は、これまでの基礎的な研究をさらに推進しつつ、実用的な機能材料開発に展開し、以下の成果を挙げた。 金属光沢発現の基礎的・理論的探求と分子設計:これまで研究してきた化合物は、1-アリール-2-(2-チエニル)-5-(5-トリシアノエテニル-2-チエニル)ピロール(1)である。この末端チオフェン環のアリール基への置換、さらにトリシアノエテニル基を導入した1-アリール-2,5-ジ(5-トリシアノエテニル-2-チエニル)ピロール(2)の置換基の変化による分子配列制御と金属光沢色との関係を明らかにした。 金属色顔料としての展開:これまで研究してきた化合物群(2)は、分子間相互作用が強く、有機溶媒に対して難溶性になる。さらに展開し、金属色を損なうことなく、より密なパッキングを達成できる置換基を探索し、メチル基、塩素、臭素など比較的小さな基が置換したフェニル基がアリール基として有効で、特にシアノ基置換体で難溶性、高融点を達成し、顔料としての用途の途を拓いた。 電気伝導性材料への展開:化合物群(1)はヨウ素ドープにより電気伝導性が現れ、半導体としての機能を示す。末端チオフェン環にメトキシ基などの置換基を導入することにより、DDQやヨウ素ドープにより持続的導電性を達成できることを見出した。さらに、分子をより接近、凝縮させるために、ポリマー主鎖にペンダント型に配列させた化合物を合成したところ、金属色薄膜を得られることを明らかにした。
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