今年度は、各種マイクロリアクターを設計、作製しイオン性液体を利用したマイクロファクトリーの構築を検討した。マイクロリアクターとしては、反応経路の幅が100〜300μm、深さが40μm、反応経路長が120〜520mm等のものをもていて検討した。その結果、粘性の高いイオン性液体を溶剤として利用するためには反応経路の幅が300μmと幅広いマイクロリアクターが必要であることを明らかにするとともに、反応経路長としては反応の種類によりことなることもわかった。 さらに、進化型反応場を確立するために昨年度から研究を継続しているクラウンエーテル担持のイオン性液体のカリウムイオン担持能力の発現機構について、コンピュータを利用してそれらの相互作用について検討した。その結果、カリウムイオンはクラウンエーテル内に捕捉されているのではなく、機能性イオン性液体のイオン性液体部位とクラウンエーテル部位の中間付近に両部位により捕捉されている可能性が高いことを明らかにした。その計算結果は、一般的にはカリウムイオンとクラウンエーテルの1:1の捕捉関係ではなく、中間付近に複数個のカリウムイオンを捕捉可能であると推定され、触媒量の機能性イオン性液体により反応がスムーズに進行したという実験結果を説明することが可能である。
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