研究課題/領域番号 |
14350467
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
西口 郁三 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (20026347)
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研究分担者 |
前川 博史 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (70283041)
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キーワード | 非対称ピナコールカップリング / 金属Mg / カルボニル化合物 / 分子内還化反応 / アントラセン / 二重炭素-アシル化反応 / 酸塩化物 / ワンポット環化付加反応 |
研究概要 |
ピナコールカップリング反応はその立体化学や反応機構を含めて有機化学上重要な反応の一つであるが、殆どはホモカップリングであり、二種の異なる基質のカップリングはまだ殆ど報告されていない。一方、金属Mgは、取り扱いや入手が極めて容易で、生体関連金属であり環境調和性も高く、比較的大きな還元力を有する。 そこで本研究では、芳香族及び、脂肪族カルポニル化合物類をトリメチルシリルクロライド(TMSC1)存在下、DMF中での金属Mgからの電子移動型反応を行い、引続き反応混合物を加水分解するというきわめて簡便な操作により、非対称ピナコールカップリング類が効率的に主生成物として得られることを見出した。また、同様な操作で分子内に二種の異なるカルボニル基を有する化合物類の反応では、分子内環化反応が進行し、環化生成物類を好収率で与えることを見出し、さらに、芳香族イミン類と脂肪族カルボニル化合物類の反応でも、同様な交差型カップリング反応が円滑に進行すること見出した。 次に、金属Mgを用いた種々の酸塩化物存在下でのアントラセンの炭素-アシル化反応では、ワンポットで9位と10位への二重炭素-アシル化反応が進行し、それぞれ対応するジアシル体が良好な収率で得られた。本反応では、興味深い事には、モノアシル化生成物は得られず、また酸塩化物の炭素鎖が長い程収率が向上すると共に、ジアシル化反応における立体選択性の向上も見られた。さらに、コハク酸ジクロリドやグルタル酸ジクロリドなどのジ酸塩化物をアシル化剤に用いれば、ワンポットでアントラセンの9位と10位での環化付加反応が進行し、対応する新規環状化合物が選択的に得られる特異的な反応を見出した。環化付加生成物の単結晶X線写真では、二つのカルボニル基の酸素原子は互いに炭素環の外側に配向した構造を取っている事が判明した。
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