研究概要 |
平成14年度は、2,1,3-ベンゾチアジアゾール環の4,7位のフェニル基のパラ位にアルコキシ基、アルコキシメチル基、エステル基、エテニル、エチニル基などの炭素-炭素不飽和基を持つ対称構造の色素化合物を合成して、それらの吸収、発光スペクトル、及び液晶中における発光2色性比を評価し、蛍光化合物の構造と発光2色性比との相関について検討した。 平成15年度は、上記の検討を更に非対称構造の色素化合物に展開すると共に、新たに、直線棒状分子であるターフェニルを基盤骨格とし、これに柔軟な側鎖基を導入し、更に2,1,3-ベンゾチアジアゾール環を種々の位置に縮環させた2,1,3-ベンゾチアジアゾロターフェニル蛍光性複素環色素を合成して、吸収、発光スペクトル特性、及び熱物性の測定を行った。その結果、これらの蛍光性複素環色素は、溶液、固体のいずれの状態でも強蛍光性であること、液晶相を発現すること、液晶相においても強蛍光性であること、液晶温度範囲は2,1,3-ベンゾチアジアゾール環の縮環位置に強く依存すること、及び構造の適切な設計により液晶温度を室温付近まで低下させることが可能であること、芳香環の少ない2,1,3-ベンゾチアジアゾロビフェニル誘導体は液晶相を発現しないこと、などの知見を得た。
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