研究課題
これまでの研究で、共有結合で形成された主鎖を持つ高分子ではなく、一次元多重水素結合により形成された擬似高分子鎖を持つ超分子繊維を溶融紡糸により作製することに成功している。基本となる分子設計の指針は、多重水素結合で形成される擬似高分子鎖が比較的剛直なため、柔軟な置換基でその周囲を覆い、側鎖部位の選択的加熱溶融により、水素結合性擬似高分子鎖を配列させた超分子繊維を作製するというものである。この指針に基づき、塩基間多重水素結合に基づくグアノシン超分子繊維だけでなく、トリアミドシクロヘキサン誘導体間の三重水素結合を利用した超分子繊維を作製しており、この分子設計指針の有効性を実証した。また、トリアミドベンゼン誘導体を用い、擬似高分子鎖に、水素結合に加えてπスタック部位を持つ超分子繊維を得た。繊維軸方向への光電子移動といった機能の発現を目指して、πスタック部位を拡張したビフェニルテトラアミド誘導体を設計・合成した。赤外吸収スペクトルおよびUVの淡色効果から、四重の水素結合で形成された擬似高分子鎖内でビフェニル環がπスタッキングしていることが確認された。また、得られた固体は熱可塑性を示し、加熱時にも四重の水素結合は保持されていた。そこで加熱紡糸を行ったところ、柔軟な超分子繊維を得ることが出来た。X線回折から、溶融紡糸した繊維の軸方向にビフェニル環が3.3Å間隔でπスタッキングしていることが示された。分子の対称性を落としたビフェニルにおいてもベンゼンと同様の擬似高分子鎖が得られたことで、今後芳香環をさらに拡張し、光・電子機能材料系へと発展させる可能性を示すことが出来た。
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