研究課題
基盤研究(B)
近年、非共有結合性の主鎖を有する超分子ポリマーに関する研究が盛んに行われている。本研究では、多重水素結合で形成される剛直な一次元超分子ポリマー鎖を、緩衝材として働く柔軟でかさ高い置換基で保護して階層性を付与するという分子設計を用い、紡糸により超分子ポリマー鎖が高度に配向した超分子繊維を作製することを目的としている。ヌクレオシドを用いた予備的な実験では、側鎖として柔軟なアルキルシリル鎖を用いたところ、十分な安定性としなやかさを有するマクロスケールの超分子繊維を得ることが出来た。このような階層的な分子設計の汎用性を調べるために、主鎖として三重の水素結合を形成するシクロヘキサントリアミドを用いたところ、アルキルシリル側鎖を導入することでシクロヘキサンがカラム状に集積した柔軟な超分子繊維を得ることができた。またこの系では、主鎖が可逆的に形成されるという超分子ポリマー鎖の特性を利用して、側鎖の嵩高さに基づく交互共重合体の形成という一次配列制御が容易に実現できた。さらに、超分子繊維への機能付与を目指してベンゼントリアミド誘導体およびビフェニルテトラアミド誘導体を合成して溶融紡糸を行い、水素結合に加えて芳香環のπスタック構造を有する一次元超分子ポリマー鎖が、繊維軸方向に高度に配向した超分子繊維を得た。これらの検討を通して、柔軟なアルキルシリル鎖を用いるという本研究の階層的な分子設計指針が、溶融紡糸による超分子ポリマー鎖の高度な軸配向の実現に向けた汎用性のある有効な手法であることを実証し、非共有結合主鎖を持つ超分子繊維の特性・機能をはじめて明らかにした。さらにこの分子設計の応用を検討し、これが結晶やフィルムのようなマクロスケールの超分子構造を階層的に作製する際にも有効に機能することを明らかにし、非共有結合で形成された超分子フィルムなどの作製に成功した。
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