研究概要 |
(1)分子の自己組織化(bottom-up)と光リソグラフィー(top-down)を組み合わせて,糖鎖の微細構造形成を目指して,(1)有機シラン分子の自己組織化単分子膜の調製,(2)光リソグラフィーによるマイクロパターン化,(3)疎水性相互作用による糖質自己組織化膜の形成とミクロ構造化,(4)レクチンによるパターン形成を明らかにした。 (2)抗生物質の一種であるアミカシンをBoc化した後、DMF中でエステル化した。得られたアミカシンモノマーとマルチトールビニルエステルの共重合により,多価アミカシンを合成した。多価アミカシンは弱いタンパク質合成阻害能を示したが、抗菌性は示さなかった。一方,酵素存在下で抗菌性を検討したところ、僅かながら抗菌性が回復することから、プロドラック効果が発現されることがわかった。 (3)6硫酸化-GlcNAc誘導体がセレクチンアンタゴニスト活性だけでなく、シアリダーゼ活性を示すことを見出した。pNP-6-sulfo-GlcNAcをpNP-_-D-GlcNAcに対するMe_3NSO_3を用いた直接硫酸化によって合成し、コレラ菌由来のシアリダーゼに対する阻害活性をMU-Siaを基質とする蛍光法によって調べたところ、高濃度(IC_<50>= 2mM)ではあるが阻害活性を示すことが明らかとなった。別途合成した硫酸基の位置の異なる3-sulfo及び4-sulfo-GlcNAcや、アセトアミド基のない6-sulfo-Glcが顕著な阻害活性を示さないことから、pNP-6-sulfo-GlcNAcのシアリダーゼ阻害活性はNeuAcとの構造類似性に基づく結果であることが予想できた。同時に、インフルエンザウィルス由来のシアリダーゼ阻害活性も測定し、各種硫酸化糖の構造と活性の相関を調べた。
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