研究概要 |
1)遷移金属錯体による新しいリビング重合:新しい有機遷移金属錯体を用いて異なる2つのモノマーの共重合を検討した。モリブデンのピリジンジイミド錯体/MMAO系触媒を用いてノルボルネンの重合を行なうと、収率良く開環重合が進行し、シス選択性95%で分子量の大きなポリマーが得られた。また同じ触媒でエチレンの重合を行なうと高分子量ポリマーが収率良く得られた。しかしこれらのモノマーのランダム共重合は進行しなかった。鉄のターピリジン錯体/MMAO触媒を用いてイソプレンを重合すると3,4-重合が選択的に起こり、ブタジエンの場合にはトランス-1,4-重合が選択的に起きた。これらのモノマーを同時に使用した際にはランダム共重合が進行した。 さらに、バナジウムのビフェノレート錯榊/MMAO触媒を用いてオレフィン類の重合は進行したが、オレフィンとメタクリル酸メチルとのランダム共重合は達成できなかった。 2)新しい生分解性ポリエステルの開発:乳酸の2量体であるラクチドと現状カーボネートとのランダム共重合体とブロック共重合体の生分解性および物性を比較した。その結果、生分解性は類似しているものの物性はランダム共重合体の方が優れていることが判明した。またL-ラクチドとD-ラクチドのステレオコンブレックスと、L-ラクチド/カプロラクトンとD-ラクチド/カプロラクトンとのステレオコンプレックスを比較した結果、後者の方が物性も大きく生分解性も優れていた。 3)高いメソポア率を有する活性炭の合成とその機能開発:ポリ(塩化ビニリデン)やフェノール樹脂に希土類金属化合物を微量混入して水蒸気賦活を行なうと、メソポアが良く発達した活性炭が得られた。吸着剤やキャパシターとしての役割を検討した。
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