研究概要 |
1)遷移金属錯体による新しいリビング重合:ターピリジンやビス(イミノ)ピリジン配位子、トロポロン配位子を有する新しいNb, Mo, Ru, Co, Ni錯体を合成し、ノルボルネン、エチレン、メチルメタクリレート、ラクトン等との反応を試みた。その結果、ノルボルネンとエチレンの重合で良い結果を見いだした。特にターピリジン配位子を有するコバルト錯体によるノルボルネンのビニル重合では分子量分布の狭いポリマーが収率良く得られ、ポリマーの分子量は仕込みのモノマー/錯体比によって制御可能であった。また、ビス(イミノ)ピリジン配位子を有するモリブデン錯体はエチレンの重合とノルボルネンの開環メタセシス重合の両方に活性を示した。しかし、メチルメタクリレートやメチルアクリレートに対しては大きな活性は見出されなかった。 2)新しい生分解性ポリマーの開発:物性が優れた生分解性の大きなポリマーを低価格で製造しようとすると、L-ラクチドの共重合体が必要になってくる。単核および二核希土類錯体を用いて、L-ラクチドと環状カーボネート、ラクトン類、エチレングリコール等とのランダム、ジブロック、およびABA型トリブロック共重合を行った結果、前二者とは容易に共重合が進行した。特にこれらのトリブロック共重合体に良好な性質が見られた。 3)高いメソポア率を有する活性炭の合成と機能開発:ピッチのみならずフェノール樹脂、ビニリデン/アクリル酸エステル共重合体に希土類金属塩やMn錯体を少量添加し、水蒸気賦活や化学賦活を行うと、メソポア率の大きな炭素材が得られる。これらの機能としてキャパシタとしての役割を評価した結果、大きな効果が認められた。また燃料電池としても良好な性質が認められ、さらにオレフィン類の水添触媒能も認められた。
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