研究課題/領域番号 |
14350492
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
甲本 忠史 群馬大学, 工学部, 教授 (00016643)
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研究分担者 |
久米原 宏之 群馬大学, 工学部, 教授 (60008521)
山延 健 群馬大学, 工学部, 助教授 (40183983)
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キーワード | 透過電子顕微鏡 / ナノコンポジット / トライボロジー / 高分子 |
研究概要 |
高分子ナノコンポジットのトライボロジーに関する研究は、また、非常に少ないのが実情である。本研究では、新規なトライボロジー特性が期待される高分子ナノコンポジットを調製し、その微細構造を調べるとともに、通常の摩擦試験機によるマクロなトライボロジー試験と原子間力顕微鏡(AFM)によるナノトライボロジー試験を行い、その摩擦表面の構造解析を透過電子顕微鏡(TEM)を用いて行い、高分子ナノコンポジットの構造およびそのトライボロジー挙動との関係を解明し、トライボマテリアルとしての高分子ナノコンポジットの開発のための基礎となる研究を行うことを目的とした。 この目的に沿って、まず、フェノール樹脂(PR)とカーボンナノチューブ(CNT)とのコンポジットの調製を行った。フェノール樹脂オリゴマーを合成し、これに多層カーボンナノチューブを所定量添加し、第二段の重合を行い、同時に縮合水を蒸発により除去した。次いで、これを冷却して固化、粉砕、混合によりCNTの更なる分散を行った後、熱プレスにより溶融し、架橋反応を進め、熱硬化したPR/CNTナノコンポジットシートを作製した。超薄切片法によるTEM観察から、フェノール樹脂オリゴマーの粘性がCNTの分散性を高めることが明らかになった。トライボロジー試験では、摩擦係数はCNT含量とともに減少したが、摩耗痕の幅から推定した摩耗量は、CNT含量が高いほど多く、CNTがフェノール樹脂硬化物の強度を低下させていることが推察され、摩擦表面の電子顕微鏡観察からも、ナノコンポジットの微細構造がトライボロジー挙動と密接に関係していることが明らかになった。 また、熱可塑性高分子とCNTとのナノコンポジットのトライボロジー挙動を検討するために、メチルメタクリレート(MMA)モノマーとCNTの混合系においてMMAを重合して得た重合ナノコンポジットとポリメチルメタクレート(PMMA)とCNTの溶液キャストナノコンポジットを調製した。これらのトライボロジー特性においては、PMMAの分子量効果を見出すことができた。
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