研究課題
結晶性-非晶性ブロック共重合体とその成分鎖に対応するホモポリマーとのブレンドにおける融体の相構造およびそれからの結晶化における高次構造形成に関して、放射光を線源とする時分割小角X線散乱を主として用い、検討した。用いたブレンド試料は、結晶化温度において非晶性成分がゴム状態であるポリエチレングリコール-ポリブタジエンブロック共重合体(PEG-PBd)とPEGおよびPBdホモポリマーとのブレンド、および結晶化温度において非晶性成分がガラス状態であるポリエチレン-ポリスチレンブロック共重合体(PE-PS)とPEおよびPSとのブレンドである。PEG-PBd/PEGブレンドにおいて、ブロック共重合体の分子量より小さい分子量を有するPEGホモポリマーとのブレンドでは融体でUCST型の相図を示し、ラメラとシリンダー状ミクロ相分離の共存が確認された。これらの融体から結晶化した場合、ブロック共重合体単独と同じように、PEG成分がシリンダ状ドメイン内にある場合は融体のミクロ相構造が保持され、それ以外は破壊された。PE-PS系ブレンドにおいては、結晶化温度において、ミクロ相構造が凍結されているためブレンドにおいても、結晶化はミクロ相構造内で生じた。以上から、マクロ相分離の有無によらず、融体の相分離と結晶化によって形成される相構造形成は、基本的にブロック共重合体単独と同じモルフォロジー依存性を示し、また結晶状態においても異なった相構造の共存が保持されることが明らかとなった。本研究で得た知見は、結晶性ブロック共重合体を含むブレンドにおいても、融体のミクロ相構造をテンプレートとして、結晶相をナノスケールで空間配置し得ることが可能であることを示す。
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繊維学会誌(繊維と工業) 61・1
ページ: 19-22
Journal of Polymer Science, Part B, Polymer Physics Edition 42
ページ: 4199-4206