本年度は昨年度までに確立してきた両末端に2級アミノ基を有するポリサイラミンテレケリックスを出発材料として特に遺伝子複合体の調製とその評価について次のように研究を進めた。 1.ポリエチレングリコール(PEG)/ポリサイラミンブロック共重合体の合成:末端のアミノ基を利用し、アルデヒド末端PEGとの還元アミノ化反応によりブロック共重合体を調製した。 2.得られたブロック共重合体とDNAとの組織化体の調製:ポリアニオンであるDNAを利用し、PEG/ポリサイラミンブロック共重合体とのポリイオンコンプレックス複合体を調製した。 3.PEG/ポリサイラミン-DNA複合体の物理化学性質の解明:粒径や分散安定性のpH依存性等の解析を行い、100nm程度のナノ粒子ができていることを確認した。 4.PEG/ポリサイラミン-DNA複合体の安定性:DNA分解酵素を混合し安定性を評価したところ、裸のDNAに比べて飛躍的に安定化することが確認された。 5.PEG/ポリサイラミン-DNA複合体の生化学的性質の解明:細胞導入、DNA発現等の解析を行い、pH低下に伴い、発現効率が上がることを確認した。 6.PEG/ポリサイラミンブロック共重合体のPEG末端へのリガンドの導入:細胞に対する導入効率を向上させるため、末端に糖やオリゴペプチドなどのリガンドの導入設計を行い、効率的遺伝子キャリアを創成した。
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