両親媒性高分子あるいはブロック共重合体は選択溶媒中で会合体ミセルを形成する。本研究では同一化学種で構成組成が異なるジブロック共重合体混合系の会合体ミセル形成挙動を解明することを目的とする。初年度である本年度は、(1)コロナ鎖(非会合ブロック鎖)の長さが異なる混合系、(2)コア鎖(会合ブロック鎖)の長さが異なる混合系のそれぞれの希薄溶液におけるミセル形成挙動、に加えミセル濃厚溶液系での(3)中間相形成についての予備的実験を行った。(1)についてはポリエチレングリコールモノドデシルエーテル混合(C12E8/C12E25)水溶液中でのミセル構造の組成依存性を調べた。(C12Enのnはエチレングリコール単位の数)その結果、C12E8にC12E25を加えていくと、会合数とミセルサイズは急激に減少した後、緩やかに減少してC12E25単独の値に達する。この結果は、加えたC12E25が、紐状ミセルを形成しているC12E8のミセル末端に混入・会合することによりミセル長を短くし、ついには均一に混合して球状ミセルへと変化させることを示唆している。(2)についてはポリスチレン(PS)/ポリエチレングリコール(PEG)ブロック共重合体をPEGへの選択溶媒中で混合ミセル形成させた。ミセルを形成しているコアPS鎖の長い共重合体溶液へ、単独ではミセルを形成しないPS鎖の短い共重合体成分を混合することにより非球状ミセル粒径は一旦増大した後、転移的に球状ミセルへ変化して粒径を減少させることが分かった。(3)では、純C12E25濃厚水溶液の秩序相についてその立方格子間隔の濃度依存性をx-線小角散乱で調べ、濃度増加に伴い格子定数はほぼ一定のまま会合数が増加することを明かにした。
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