研究概要 |
両親媒性高分子あるいはブロック共重合体は選択溶媒中で会合体ミセルを形成する。本研究では同一化学種で構成組成が異なるジブロック共重合体混合系の会合体ミセル形成挙動を解明することを目的とする。本年度は、(1)コロナ鎖(非会合ブロック鎖)の長さが異なる混合系、(2)コア鎖(会合ブロック鎖)の長さが異なる混合系のそれぞれの希薄溶液におけるミセル形成挙動、に加えミセル濃厚溶液系での(3)中間相の相図と秩序構造について研究を行った。(1)(2)についてはポリエチレングリコールモノドデシルエーテル混合[(1):C18E8/C18E25,(2):C18E8/C12E8]水溶液中でのミセル構造の組成依存性を調べた。(C12Enのnはエチレングリコール単位の数)その結果、C12E8にC18E25あるいはC12E8を加えていくと、(1)、(2)いずれの場合も会合数とミセルサイズは急激に減少した後、30wt%付近で転移的に減少、その後は緩やかに減少する。この結果は、加えたC18E25,C12E8が、紐状ミセルを形成しているC18E8のミセル末端に混入・会合することによりミセル長を短くし、30wt%付近で転移的に球状ミセルへと変化させることを示している。一方、ポリスチレン/ポリエチレングリコールブロック共重合体についてもシクロヘキサノール中で混合ミセル形成させ、会合数・サイズの混合組成による特異な変化を明らかにした。(3)では、C12E8/C12E25混合濃厚水溶液について主にx-線小角散乱により相挙動と秩序構造のC12E25の混合組成(f)依存性を調べた。C12E8-rich領域(f=0-0.4)で円柱六方晶相、C12E25-rich領域(f=0.8-1.0)で体心立方晶相を示し、中間組成領域では無秩序相、2相共存相である。秩序相でのミセル間距離、会合数の組成変化を明らかにした。
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