両親媒性高分子あるいはブロック共重合体は選択溶媒中で会合体ミセルを形成する。本年度の研究では同一化学種だけではなく異種化学種も含め構成組成が異なるジブロック共重合体混合系の会合体ミセル形成挙動を明らかにした。研究は(1)コア鎖(会合ブロック鎖)の化学種が異なりコロナ鎖(非会合ブロック鎖)の長さ異なる混合系のそれぞれの希薄水溶液におけるミセル形成挙動、に加えミセル濃厚溶液系での(2)コロナ鎖(非会合ブロック鎖)の長さが異なる混合系(3)コア鎖の化学種とコロナ鎖の長さが異なる混合系、についての中間相の相図と秩序構造の三つに分けられる。(1)については親水部分(コロナ)としてポリエチレングリコールを、疎水部分としてそれぞれ飽和アルキル鎖、不飽和アルキル鎖、フェニル基を含むアルキル鎖、によって構成された両親媒性物質2成分混合物の水溶液中でのミセル構造の組成依存性を調べた。その結果、異なる化学種でもコアの混和性はあり、混合ミセルを形成する。紐状ミセルから球状ミセルへの組成変化による変化は、いずれも球状ミセル成分組成の小さいところで急激に起こることが明らかとなった。(2)(3)では(1)と同様の種々の混合系について、円柱六方晶相あるいは立方晶相をそれぞれ形成する溶液に対する他成分添加の効果の観点から調べた。その結果、ミセル形成と同様、疎水性会合部の混和性は良好で混合会合体を形成して秩序構造を示す。また、一般に、円柱六方晶相は他の成分混入に対して比較的安定であるのに対し立方晶相は不安定になりやすい。さらに、親水性の鎖長が近い混合系で、立方晶相では例の少ない面心立方相が比較的広い組成範囲で現れることが見出された。
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