研究概要 |
これまでに提案してきたサンドイッチ型SPSの総合システムのモデルを製作し、World Space Congress(Houston,2002年10月)にて展示を行った。製作したモデルは、インフレータブル構造を用いた一対の反射鏡、サンドイッチ型の発送電モジュール、地上の受電アンテナで構成され、太陽光からレクテナまでの総合的な変換効率など、SPS構想の可能性および効率面での実用性を示すことを目的とするものである。 反射鏡の構造体としては、軽量性・収納性の面からインフレータブル構造がもっとも実現可能性が高い。今回のモデルにおける反射鏡は、鏡面としてアルミ蒸着したポリイミドフィルム、軸として三軸織物を用いたインフレータブルチューブを用いた。 サンドイッチ型発送電モジュールのモデルは、25枚の太陽電池パネルと16個の小型発送電モジュールで構成した。送電アンテナには誘電体基板で容易に作製可能なスロットアンテナを採用した。また送電面の金属板は放熱板の役割を果たす。小型発送電モジュールの上面に2.45GHz送電用スロットアンテナおよび1.225GHzパイロット信号受信用アンテナ、内部に移相器および制御用CPU、パイロット信号の位相差検出用ミキサで構成した。これらの回路をひとまとめにしてモジュール化することで大量生産が容易となり、生産性の向上を図ることができる。 静止衛星軌道から地上のレクテナの方向にマイクロ波ビームを制御するには、レトロディレクティブ方式がもっとも有効と考えられるが、そのためにはマイクロ波の高精度な位相制御が重要となる。今回のモデルでは移相器制御用CPUを用いて5ビット間隔での位相制御を試みた。位相は360度制御されていることが確認され、最大誤差は約5°を実現した。 今後この成果をもとに、更に改良を加え宇宙太陽発電に不可欠な技術を確立していく計画である。
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