研究概要 |
内業工場における溶接・切断時に発生する金属ヒュームによる工場内空気汚染は改善が要請されている。このため、以下の研究を行った。 (1)金属ヒュームの拡散と換気に関する可視化実験と数値解析 ヒュームの拡散状態と換気流の把握を行うために、内業工場において切断・溶接作業時に発生するヒュームを極低濃度の固体を含む気相流と考え、内業工場をモデル化した擬似2次元模型を用いて、着色塩水の比重差置換による模擬的な流動可視化実験を行った。また、非等温場の運動量・温度・ガスの輸送方程式に基づき換気流とヒューム濃度の数値解析を行い、相似則を用いて実験と計算の比較を行い、ヒューム流動状態を解明する方法としての妥当性を調べた。 (2)金属ヒュームの換気制御実験と労働安全性 ヒューム流動制御のための高効率の換気システムの構築のために、造船所の船殻工場をモデル化した3次元の工場模型を用いて、漏煙試験用発煙片の発煙を切断作業などによる金属ヒュームとみなしヒューム流動の可視化実験を行い、工場天井の形態と換気位置が換気効率に与える影響を調べた。そして二層ゾーンモデルによりヒューム煙の拡散を解析し、相似則を用いて両者の比較を行って、ヒューム流動の解析法としての妥当性を検証した。 (3)労働環境保全のための溶接・切断ヒューム濃度計測と流動制御 造船所内業工場内の各作業ステージ(NC切断ライン,小組立ライン,平行部ライン)と二重化ブロック内においてヒューム濃度を計測することにより,内業工場内の局所的なヒューム流動状態の把握を行った。また,ヒューム中の粒子の粒子径分布を計測することにより,人体に悪影響を与える吸入性粒子の構成比率を計測した。さらに,内業工場内において最も高濃度のヒュームの曝露を受ける作業ステージを解析対象として,換気流とヒューム濃度の数値解析を行い,計測値との比較をすることによりヒューム流動状態を解明する方法としての妥当性を調べた。
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