研究概要 |
B.campestris class II Sハプロタイプにおける4対立遺伝子(S29,S40,S44,S60)間の優劣性関係は、柱頭側では、共優性であり、花粉側では、S44>S60>S40>S29であった。 class II内での優劣性関係とヘテロ個体でのSP11の発現についてRNA gel blot解析から、比較・検討した。class I vs. class IIの時と同様に、すべての組み合わせのヘテロ個体では、優性を示す対立遺伝子のSP11のみが発現していた。このことからclass II内で見られるlinearな優劣性関係もSP11の発現量によって制御されていることが明らかになった。 S29,S40,S44の3系統のSP11周辺領域を含む約15kbのファージクローンをそれぞれ単離し、その全塩基配列を決定した。3系統ともSP11の上流約10kbにSRKの一部が座乗していた。S60のゲノム構造と比較したところ、SP11とSRKの相対的な位置関係及び両者の転写方向が一致していた。 SP11の転写制御領域であると考えられるATGより-300bp領域ではSハプロタイプ間で、69.2-85.5%の相同性を有していた。この領域にはDNAのメチル化の修飾を受けるとされるCpG,CpNpG配列がハプロタイプ間で保存されて存在している場所と、ハプロタイプ特異的な場所が存在していた。 SP11遺伝子が核内でどの様なクロマチン状態下におかれているかを調べるため、染色体や核内の遺伝子の様々な可視化技術の開発を試みた。アブラナ科植物と同様に小さな染色体を持つ、イネをモデルとして、FISH法やファイバーFISH法の効率的システムを構築し、遺伝子の染色体上や核内の位置を正確に可視化することが可能になった。
|