| 研究概要 |
1.長寿命カーネーション品種の探索:本研究には,多様な老化の性質を示す長寿命品種の使用が必須である.今までに,'ホワイトキャンドル(WC)''ルノアール''ロイヤルグリーン''シオン'を長寿命品種として明らかにした.今年度は,長寿命性を持つ可能性がある品種として'コレノ''クリームキャンドル(CC)''ブラッキー'を調査し,'CC'を長寿命品種として見いだした.'CC'は,'WC'と同じくキャンドルシリーズの一品種であるが,遺伝的背景が'WC'とは異なる品種である.また,'ブラッキー'は,花弁が萎れずに花弁周縁部から乾燥して花の寿命を失うことを見いだした.この品種の花弁の老化メカニズムは通常のカーネーションとは異なることが予想される.老化特性の詳細な解析を進めている.
2.長寿命品種'ホワイトキャンドル(WC)'の分子機構の解析:カーネーションの花の老化には,エチレンが主要な役割を果たしている.花の自然老化時には,最初に雌ずいでエチレンが生成し,このエチレンが花弁に作用して,花弁における自己触媒的エチレン生成と花弁の萎れを誘導する.老化時のエチレン生合成系酵素(ACC合成酵素,ACC酸化酵素)遺伝子の発現解析を行い,'WC'では雌ずいにおけるACC合成酵素遺伝子の発現活性が低下していることを明らかにした.'WC'は外生エチレンに対する感受性と反応性には異常がなかった.'WC'の長寿命性の原因として,老化のトリガーになるエチレンが雌ずいにおいて生成されないことを明らかにした.
3.老化関連遺伝子のプロモーター解析:カーネーションの長寿命性を,関連する遺伝子の発現調節と関連させて明らかにするためには,遺伝子のプロモータの解析が必須である.今年度は,花弁の萎れに関与するステインプロアーゼ(CPase)のゲノムDNAを単離する作業に着手した.
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