研究概要 |
1.1対のBGOプローブの系を確立し、検出効率ならびにナノリットルの水分動態を明らかにすることができた。 2.漏出流と導管流の分配係数等のデータを得た。茎の水動態を定量できたことにより、導管からの漏出流が存在する可能性が示された。 3.高いコントラストで水分画像を得ることができるに極冷中性子ラジオグラフィを利用して植物内の水分分布を非破壊で観察した.極冷中性子ビームの特定波長は0.6nm(京都大学原子炉実験所VCN実験孔)およびに6nm(Institut of Laue-Langevin、VCN port)である.非常に低エネルギーである特定波長6nmの中性子ビームは透過する厚さが水の場合約2mm程度に制限されたが,一方で高いコントラストを得られ薄い植物葉部の水分変化をとらえることが可能であった.特定波長0.6nmの中性子ビームは直径約10mmのカーネーション切り花の萼に包まれた子房部を透過したため,中性子トモグラフィ画像を得ることが可能であった. 4.冷中性子および極冷中性子ラジオグラフィは水素の濃度変化に対する感度が高いため,農産物内の水分変化測定に対する応用が期待されている.特に葉菜などの薄い試料に適しているため,京都大学原子炉実験所の冷中性子ビーム孔(CN3)およびInstitut of Laue-Langevinの極冷中性子ビーム孔(VCN)を利用し,それぞれキク切り花葉部における真空予冷時の水分移動およびヘデラ葉部の葉脈切断後における水分移動を観察した.真空予冷時には葉部に存在するわずかな傷から多大な水分が失われること,また,ヘデラ葉部の切断面の機能を補うために周囲の二次葉脈が水の輸送に使用されることが明らかになった. 5.メロンやイチゴにおける生理障害発生に関わる水の動態を解析し,メロンの「水浸状果」では,細胞壁の乖離に伴うアポプラスト内における水の蓄積が,直接的な発生要因であることを明らかにした.また,イチゴでは水の保持力の大きく,ペクチン性多糖類を豊富に含むチリイチゴの生理生態特性を明らかにした.
|