研究課題/領域番号 |
14360016
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
上田 善弘 千葉大学, 環境健康都市園芸フィールド科学教育研究センター, 助教授 (40143268)
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研究分担者 |
渡辺 修治 静岡大学, 農学部, 教授 (90230979)
蓬田 勝之 (株)資生堂リサーチセンター, 製品開発本部・香料開発室, 参与
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キーワード | バラ / 香気成分 / 遺伝資源 / 系統解析 / ヘッドスペースGC分析 |
研究概要 |
中国から分譲された品種12品種を既存のティーおよびチャイナ系品種、34品種、祖先種2種、その他の系統品種および野生種とともにガククロマトグラフ質量分析計(GCMS)を用い、ヘッドスペースGC分析法で香気成分を分析し、分析結果をもとに系統解析を行った。 その結果、ティーおよびチャイナ系品種のほとんどが、祖先種である、Rosa chinensis var. spontaneaとRosa giganteaに、その指標成分、ジメトキシメチルベンゼンおよびトリメトキシベンゼンを介し系統的なつながりを持つことが確認された。しかし、上記系統品種のなかには、これらの指標成分が確認されないものがあり、その品種の来歴に疑問がもたれた。さらに、ティー系統の祖先系統といわれているノアゼットおよびブルボン系統のなかには、香気成分的にティー系統とのつながりがうすい品種が多くみられ、系統成立の再考が必要と思われた。なお、系統解析を行うにあたり、全供試材料(64種、239品種)で検出された主要香気成分76成分を香りの質に基づくグルーピングおよび主成分分析を解析に用い、上記系統解析をより明確にすることが可能になった。 また、中国から分譲された品種の香気成分解析では、既存のティーおよびチャイナ系品種でみられない香気成分組成が検出された。具体的には、R. chinensis var. spontaneaに由来するトリメトキシベンゼンとR. giganteaに由来するジメトキシメチルベンゼンを均等に含む品種、R. chinensis系の指標成分の一つ、イオノン系成分を多量に含む品種が見つかった。これらの品種は今後のバラ育種への貴重な遺伝資源になるとともに、中国系栽培バラの起源解析の鍵品種となると思われる。
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