研究概要 |
ピートモス、クレハ園芸培土で育苗したHeteroconium chaetospira接種区、およびH.chaetospira無接種区のハクサイにA.brassicaeを噴霧接種し、病害抵抗性関連遺伝子の発現解析をノーザンハイブリダイゼーションおよびDNAマイクロアレイにより行った。 1.PAL-BC1はA.brassicae接種後5日間ピートモス、クレハ園芸培土育苗ハクサイ共に、H.chaetospira無接種区と同様シグナルは検出されなかった。PR-1aはクレハ園芸培土育苗ハクサイで発現量が多く、A.brassicae接種3日目以降はH.chaetospira無接種区に比べ接種区で発現量が多かった。PDF1.2はA.brassicae無接種区でもH.chaetospira接種、無接種ハクサイともに、弱いシグナルが検出された。クレハ園芸培土育苗ハクサイのA.brassicae接種3日目以降ではH.chaetospira無接種区に比べ接種区で発現量が多かった。 2.DNAマイクロアレイ解析の結果、病徴出現前に変動のみられる多数の病害抵抗性関連遺伝子が見つかった。その中で、特にMAPキナーゼ3は約19倍、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)は約198倍、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)は約12倍と発現量が顕著に増加していた。PALの発現量には顕著な増加は見られなかった。 以上の結果、H.chaetospiraの根内定着による病害抵抗性経路は、上流部にMAPキナーゼ経路が存在し、下流部では、JAは関与せずSAがシグナル伝達を行っており、SAはフェニルプロパノイド経路ではなく、コリスミ酸から生成され、PR-1a, PR-2の発現を誘導し、抵抗性を示すことが示唆された。またカマレキシンの生成量増加が抵抗性誘導に関与していることが示唆された。
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