研究課題
基盤研究(B)
ethyl 4-[2-(tert-butylcarbonyloxy)butyloxy]benzoate(ETB)は幼虫表皮の標的組織において、部分的に幼若ホルモン(JH)拮抗阻害物質として作用することが報告されている。ETBの構造修飾により、ethyl 4-[4-methyl-2-(6-methyl-3-pyridyloxy)butyloxy]benzoate(EMP)が、顕著なJH欠乏症状として知られているカイコ幼虫の早熟変態と表皮の黒色化を誘導することを見いだした。EMPはETBと異なり、薬量依存的に早熟変態を誘導した。構造と活性の関係を調べた結果、ベンゼン環上のエトキシカルボニル基と6-メチル-3-ピリジル部位は活性に必須であった。EMPの早熟変態誘導活性はJHアゴニストであるメソプレンによって完全に打ち消されたが、20-ヒドロキシエクジソンを摂食させても影響なかった。これらの結果は、EMPが明らかに幼虫体液中のJH量を減少させていることを示している。JHレセプターに関連すると思われるEMPの標的分子を同定するために、アフィニティリガンドとして、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合させたEMP誘導体を調整した。3齢から5齢幼虫のヘッドカプセルと蛹の卵巣濾胞細胞に対して、EMPリガンドに結合するタンパク質の探索を行ったが、特異的に結合するタンパク質を検出することはできなかった。そこで、さらに高活性な抗JH活性物質の合成探索を行い、ethyl 4-[4-methyl-2-(6-methyl-3-pyridyloxy)pentyloxy]benzoate(1)を見いだした。化合物1のR体とS体の両鏡像体間において活性に差はなかった。化合物1のカルボン酸誘導体は活性を示さないことから、エステルそのものが活性の本体であることがわかった。化合物1は、コントロールの終齢幼虫期のみに分泌されるJHエステラーゼ活性を4齢幼虫期に発現させて早熟変態を誘導していることが明らかとなった。本研究において、新しい骨格を有する抗JH活性物質を見いだすことができた。
すべて 2004 2003
すべて 雑誌論文 (8件)
Journal of Pesticide Science 29
ページ: 121-123
J.Pestic.Sci. 29
Journal of the Faculty of Agriculture, Kyushu University 47
ページ: 395-405
Bioscience Biotechnology and Biochemistry 67
ページ: 2045-2047
Journal of Insect Physiology 49
ページ: 1005-1011
J.Fac.Agr.Kyushu Univ. 47
Biosci.Biotechnol.Biochem. 67
J.Insect Physiol. 49