研究概要 |
植物において培地からのNO_3吸収に関わるNO3-トランスポーター(NRT)とNO_3の道管ローディングに関わるとされるアニオンチャネル(CLC)の翻訳後修飾に関する生化学的解析を加えることを目的に研究を行い,14年度は以下の知見を得た。 1.NRT制御について翻訳後制御の可能性が確かめられた。 オオムギ幼植物を様々な栽培条件下に置き,高親和性^<15>NO_3吸収活性,NRTmRNAレベルおよびNRTタンパク質レベルを比較すると3者の間には明らかな違いがみられた。これらのことからNRTは,転写および翻訳後のレベルで制御されていることが明らかとなった。NRTの翻訳後レベルでの制御は本実験で初めて実験的に証明された。 2.NRTの生化学的性質が明らかになった。 オオムギ根から膜画分を分離し,NRTの存在を抗NRT抗体を用いたウエスタンブロットで検出した。NRTは,細胞膜画分のみに存在し,その分子量はアミノ酸配列からの予測値よりも小さいことが明らかになった。抗体を得たことで,これまで不明であったNRTの生化学的性質が明らかになりつつあり,NRTタンパク質の翻訳後修飾の研究も来年度以降可能となるであろう。 3.組み換えCLCタンパク質の発現に成功した。 CLCタンパク質のC末端領域をコードする遺伝子断片を発現ベクターに組み込み,大腸菌内で組み換えCLCタンパク質断片を発現させることができた。これを精製し,抗原としてウサギに免疫を開始した。
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