研究概要 |
植物において培地からのNO_3^-吸収に関わる硝酸トランスポーター(HvNRT1およびHvNRT2)とNO_3^-の道管ローディングに関わると予想されるアニオンチャネル(HvCLC)の翻訳後修飾に関する生化学的解析を加えることを目的に研究を行い,16年度は以下の結果を得た。 1.リン酸化が予測されるアミノ酸残基を置換したHvNRT2タンパク質を得た オオムギ根の可溶性画分によってHvNRT2タンパク質がin vitroでリン酸化されることはすでに明らかにした。今年度は、リン酸化予測ソフト(Net Phos 2.0)よって高いスコアが示された6つのセリンおよびスレオニン残基を、部位特異的置換法によりアラニン残基にそれぞれ置換したHvNRT2タンパク質を得た。 2.NADH依存型硝酸還元酵素欠失オオムギ変異体においては低親和性硝酸吸収活性が促進された NADH依存型硝酸還元酵素欠失オオムギ変異体(Az12)とその野生株(Steptoe)における低親和性硝酸吸収活性をトレーサーとして^<13>NO_3^-を用いPETISで測定したところ、Az12では野生株の4倍程度強い活性が認められた。変異体における活性上昇の機構をタンパク質レベルで解明する必要がある。 3.HvCLCはオオムギ根可溶性画分によりin vitroでリン酸化された オオムギ根から可溶性画分を調製し,これを粗酵素液としてin vitroにおけるHvCLCのリン酸化を解析した。その結果,HvCLCのC末端断片は,可溶性画分に含まれるリン酸化酵素によってCa^<2+>依存的にリン酸化されることが初めて示された。
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